特定医療法人 生仁会 須田病院 薬剤部
定岡 摩利
このたび、第8回皮膚褥瘡外用薬学会学術集会を、2026年6月13日(土)・14日(日)の2日間にわたり、岐阜県高山市・飛騨世界生活文化センターにて開催できますことを、大変嬉しく思います。会員の皆様ならびに関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
今回の学術集会のテーマは「共創する医療 ~外用療法でつなぐ多職種連携の未来~」
といたしました。
高齢化の進展により、褥瘡は医療施設のみならず在宅医療の現場においても、ますます重要な課題となっています。開催地である高山市は、全国に先駆けて高齢化が進む地域であり、医療従事者の地域偏在という現実を肌で感じる場所でもあります。限られた人員の中で質の高いケアを提供するためには、各職種が専門性を活かしながら連携する「多職種協働」が不可欠です。その中で、薬剤師が褥瘡外用療法の質の向上に果たす役割は非常に大きいと考えます。日本褥瘡学会では「褥瘡・創傷専門薬剤師制度」を立ち上げ、薬剤師が外用薬の選定や使用方法の指導を通じて、治療の質向上に貢献することが期待されています。しかしながら、薬剤師による褥瘡外用療法への介入の重要性は、薬剤師自身にも、また他職種にも十分に認識されていないのが現状ではないでしょうか。
また今回、精神科病院に勤務する薬剤師が大会長を務めさせていただく点も、本学術集会の特徴の一つです。精神科医療の現場では、虐待やネグレクトに関連して褥瘡が問題となることもあり、褥瘡ケアは重要な課題です。薬剤師がそのケアに関与する意義は、非常に大きいと感じております。
本学術集会では、座学に加え、実践に直結するハンズオンセミナーを企画しております。外用薬を中心とした褥瘡治療に関する知識と技術の向上を図るとともに、多職種による意見交換の場を提供し、参加者の皆様とともに「共創」の意義を深め、より良いケアの実現に向けた議論を重ねてまいりたいと考えております。なお、現地参加が難しい方にもご参加いただけるよう、全国からアクセス可能なハイブリッド形式での開催を予定しております。
高山市は、歴史と文化が息づく風光明媚な観光地としても知られており、少し足を伸ばせば、下呂温泉、白川郷、平湯温泉など、飛騨の自然と伝統に触れることができます。学びと交流の場として、皆様にとって実り多い2日間となることを心より願っております。