代表挨拶
古田 勝経 (医療法人愛生館 小林記念病院 褥瘡ケアセンター長)
高齢化の急速な進行、在宅医療への転換など昨今の社会情勢の激変による医療のあり方が大きく変化しております。またチーム医療の推進における役割拡大が求められています。そういう中で薬の専門家、責任者として薬剤師の役割を今一度見つめ直し、薬物療法へ介入するための行動を起こすために外用療法研究会を発足させました。医薬品における外用薬は手軽な薬でありながらこれまで塗布するという使い方から軽視されがちであり、直接生命に関係しないという観点から薬剤師の介入はほとんどなされていません。しかしながら、外用薬は基剤の特性や使用法が効果を大きく左右する薬剤であり、誤った使い方で治療が遷延して医療費の増大が考えられます。すでに褥瘡の外用療法では薬剤師の介入により治癒期間の短縮や医療費を削減することが明らかになっています。点眼薬や吸入薬の指導は行われていますが、皮膚科疾患に対する軟膏剤をはじめとする外用薬の塗布などの指導では皆無に等しい状況であり、セルフメディケーションにおいても十分な指導が行われていないのが実情です。
平成26年3月厚労省医政局課長通知(医政発0319第2号)「薬剤に関する実技指導の取り扱い」により薬剤師は外用薬の実技指導が認められ、外用薬を外用塗布、充填することは問題なく行えることとされた。すでに平成22年4月厚労省医政局長通知(医政発0430第1号)により医師とプロトコールを作成すれば、協働薬物治療管理も可能であり、薬剤師の知識による情報提供だけでなく、手を出して技術を活用し薬物治療に介入することが適法化されている。病院、薬局を問わず薬剤師が外用薬の使い方の重要性を正しく認識して適切な実技指導が行えるように知識と技術を習得し、普及啓発することを目的とします。